【書評】正しいコピペのススメ 著作権なんて、知らない方がトクをする?

アイキャッチ用表紙画像 書評

 これはとても良い本だ。岩波ジュニア新書だから主な対象読者は大学生……ではなくて、現代に生きるすべての人だ。少なくともPCやスマホを使っている人は読むべきだ。TwitterやInstagram、FacebookのSNS類をやっていれば必読だ。

 また、あなたが何かの作り手、例えば音楽や小説、絵、はたまたブログ記事やYouTube動画を作る人なら読んでおいた方が絶対にトクをする。

 本書と同じタイミングに読んでいた『これだけは知っておきたい「著作権」の基本と常識』があくまで日常生活上で関わりそうな著作権の問題について網羅的に書かれた本だったのに対し(こちらもわかりやすくおすすめ)、本書のコンセプトは少し違う。

 現代を生きる上で絶対に避けては通ることのできない著作権の基本的なルールを正しく理解した上で、目指しているのは各人の創造的な活動だ。だから前述したように、あなたが何かの作り手なら、読んだ方が絶対にトクをする。作品を作る過程での、正しく真似る術を教えてくれるから。

知らぬが仏の著作権

 そもそもの話、僕が思うに著作権の知識はない方が「有利」だ。 「ずいぶんと変なこと言うなあ」と思われるかもしれないが、多分これは間違っていない。なぜなら、著作権のことを正しく知れば知るほど、今までごく普通にやっていた著作権のルールに違反した数々の行為を止めなくてはならなくなるからだ。
 
 だからもしあなたがパクツイでTwitterでの人気者になっていたり、他所のブログ記事から「引用」しまくることで記事を書き上げている「自称フリーランスのライター」なら、著作権のことは知らないほうがいい。知ってしまったらあなたの地位は確実に維持できないから。

 別にここまで極端なパクリ者だけが例じゃない。例えば今まで何気なしにやっていた、SNSの投稿に、芸能人や歌手の画像を貼り付けるあの行為を、今後はできなくなるかもしれない。 読了後すぐにTwitterのアニメアイコンを変更するハメになるかもしれない。会社で毎日のように回ってくる新聞記事のコピーを、今後は罪悪感を感じながら読むハメになるかもしれない。

 ことによっては、居酒屋の店員のお姉さんに撮ってもらった集合写真を、Facebookにアップすることすら躊躇ってしまうかもしれない。 

 実は僕も、著作権違反と知りつつやってしまっていることがある。それは本記事でもやってしまっているのだが、アイキャッチ画像として本の表紙の画像を使用していることである。書評を書いたりなど、ブログで本のことを扱っている人ならほとんど誰しもがやっていることだけども、実はこれすら著作権的にはアウトなのである。(Amazonのリンクでの、商品画像ならOKとのこと)

 そもそも、大概の場合、本の表紙は著者とは別のイラストレーターなどが手がけているので、著作権も著者ではなくイラストレーターに属していることになる。
 
 ただ実際のところ、ブログなどで紹介されることは、本の宣伝になっているというのもあって、出版社も誰も著作権の侵害を訴えていないのだ。

 だから、別に自己正当化ではないけれど、この書評記事もこれだけこの本のことを宣伝しているのだから、見逃していただこうと思っている。(関係者の方へ:問題あれば、どうかご一報下さい!)

 ただし、取り上げている本について、あまりにも批判的な内容の書評だったりする場合は、注意が必要だ。表紙の画像の著作権侵害を理由に、記事の取り下げを要求されることも充分に考えられるからである。(書評を書き初めてから思い知ったけど、案外本の著者は自分の本の書評をちゃんとチェックしているぞ!)

 また、あまりにも本の内容から引用をしまくった、というより、ほとんど「コピペ」で書き上げたような書評は、本のネタバレとして著者からクレームがくる可能性が高いので気をつけたほうがいい。というより、やらないほうがいい。

 著者からネタバレとしてクレームがきた話は、以前読んだかん吉氏の『ゼロから学べるブログ運営×集客×マネタイズ 人気ブロガー養成講座』にも実体験として書かれていた。

一億総クリエイター時代だからこそ

 以前書いた記事で「今時、小学生ですらTwitterのアカウント思っているんだから、小学校のうちからちゃんと著作権のことを教えたほうがいい」と書いた。やはりこの意見は正しいと思っている。著者も本書の中で「小学生がスマホで映像を発信する時代」として表現しているが、そんな誰しもが「クリエイター」になった時代にも関わらず、作り手側の苦労にはなかなか意識が向かない。

 また、著者は近年のアマチュアとプロの垣根がなくなりつつある様子を、大リーグとアマチュア野球に例え、「アマチュアがプロの存在を脅かす」と表現している。そして、タチの悪いことに、著作権(=ルール)を正直に守っているのがプロたちであり、侵略者であるアマチュア側はいつだって「そんなもの、知ったこっちゃあない」。

 誰もがクリエイターの時代とはいっても、結局、アマチュアが作るものの大抵の元ネタは、プロが作ったものなのだ。だから、元ネタとなるプロの仕事をきちんとリスペクトして、真似る時は正しく真似ないと、いつか「元ネタ」が渇望する。

 著作権なんて、知らない方が得をする。そんなどうしようもない今の現状をなんとかしないと、本当の意味で誰しもがのびのびと創作活動をできる日はやってこないのかもしれない。

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