久しぶりの書評記事だ。今回取り上げるのはかん吉の名で知られている菅家伸氏の『ゼロから学べるブログ運営×集客×マネタイズ 人気ブロガー養成講座』。
下書きの段階で原稿用紙に手書きしているが、なかなか長いタイトルである。というのも、こちらのブログ記事で知ったのだが、本書のタイトルは空白を含めずに数えて31文字。そして、「ブログ運営」「集客」「マネタイズ」「人気ブロガー」など、これまでというほど、タイトルにはキーワードが含まれている。
つまりこの本自体がかなりブログ然としており、前述したタイトルのSEO意識と共に、小見出しの多用や、とにかく短文が並ぶ文体など、殆ど読んでいてブログを読んでいる感覚。
のっけから感想を述べてしまうと、とりあえずどんなスタイルのブログであれ、ブログを書いてる人には、一読する価値は充分にある。
収益化よりもまずは信頼を得ることから
本書のタイトルの通り、本書は人気ブロガー養成講座。初めからマネタイズ(収益化)を目指すのではなく、読者との信頼を築くことが大事だと説く。
そう、本書では収益化を目指すことよりも、ファンを増やし、読者の層を厚くすることをはるかに重視しているのだ。だから手っ取り早くブログで金稼ぎを目指してる人間には本書は向いていない。
著者も初めの方にそのよう断りを入れてあり、そのような本を求めているのであれば他書を当たるよう、勧めている。
ブログに関する事は、なんでも
初心者から中級・上級者にまで対象を向けている本書。ブログに関係していることは基本なんでも載せるといったスタンスで書かれている。面白いなと感じたのは、ブログ映えする綺麗な写真の撮り方にも触れていて、抜け目がないなと思ってしまった。
薬機法や景品表示法、知ってる?
また、ブログをやる上で心がけなければならない法律違反についてもしっかり触れている。本書で触れられているのは以下の4つ。
- 著作権
- 薬機法
- 景品表示法
- 名誉棄損、プライバシー侵害
一つ目の著作権という言葉については、聞いたことがない人はいないと思うが、薬機法と景品表示法について初めて目にしたと言う人も多いと思う。
会社にバレる税金⁈
ブログでの活動で年間二十万円以上の収益が発生すると税金を支払う必要が出てくる。
正直に言って、僕も含め多くのブログ主には無縁の世界だが、もしこの記事を読んでいる人で、当てはまりかつ税金未納の人がいたら必ず払うことをお勧めする。
その場合、とある税金によって会社にブログでの副業がバレてしまうんだとか。その税金とは? いかにすれば会社に知られずに税金を納められるのか?
気になった人がいたら本書を頼ってほしい。(我ながらなかなかいい宣伝だ)
SNS・ソーシャルメディアを超意識
何度も書いてしまうが、本書の目標は人気ブロガーを目指すこと。そのため、検索流入よりもソーシャルメディアからのアクセスを増やすことを重視している。Twitterのフォロワー数を千人目指すことなど、その典型例だ。
僕自身はSNS疲れから、現在TwitterもFacebookも休止中なので、このアイデアをおいそれと受け入れることはできないが、SNSの使い方が上手い人は試してほしい。
また、SNSを意識するなら、とにかくスマホユーザーを第一に考えなくてはいけない。
セルクマでホッテントリ
セルクマでホッテントリ。なんのことかわからない人には、渋谷の女子高生のギャル用語よりも、理解不能だろう。(我ながら、四、五十代が使いそうな比喩表現で嫌になる)
「はてなブックマーク(略してはてぶ)」とは、はてな社のブックマークサービスで、日本のブログのバズ——SNSで爆発的に拡散されること。元の意味は「ブンブンいう」「ざわつく」など——の多くはここから生まれているとのこと。
「セルクマ」とはそのはてなブックマークで、自分で自分の記事にブックマークすることを指す。
「ホッテントリ」とは、ホットエントリーの略で、はてなブックマークに多くのブックマークがつくことで、ホットエントリー記事として掲載され、より多くの人の目に留まるようになる。
そのホッテントリに掲載される条件は、初めの三つのブックマークが付くのが早ければ早いほど可能性が高まるとのこと。そのために一つ目のブックマークが他の人に付けられたらすぐにセルクマすることで、三つ目のブックマークまでの時間を最短にすることができると書かれている。
そしてセルクマが違反ではないが諸注意が必要とも添えてある。うーん、僕はそもそもはてブはやっていないし、あまり近づきたくない世界だが、ブログの露出を目指すためにはここまでするか。僕にはちょっとできそうもない。
NAVERまとめで悪魔に魂を売ってしまう⁈
もう一つ個人的に「ちょっとな」と感じてしまったのが、自サイトへの集客を増やすために、NAVERまとめでまとめ記事を作ると言うテクニック。
やり方としてはNAVERまとめでまとめ記事を作り、そこに程良い塩梅で自分のブログ記事を引用元として取り入れるといったもの。全ての引用元を一つのサイトにすると、特定サイトへの誘導へと見做され規約違反になるため、バランスが肝心とも添えてある。
ご存知の通りNAVERまとめのドメインの力は半端ないものなので、それを上手く利用するといった具合だ。
うーん、正直これは自分のブログへの集客のために、そこまでプライドを捨てることはできないなという印象。僕はNAVERまとめほど最低なサービスはないと思っているので、大袈裟のようだが、この行為は悪魔に魂を売る感覚に近い。
初めはアクセス増加のために役立っても、長い目で見れば、NAVERまとめは自分の記事から勝手気儘にパクってくる敵になるだろう。
終わりに
実を言うと、本書はブログを始めた頃に図書館で予約した本。呑気に数ヶ月待ち続けたというよりも、半ば忘れかけていた頃に手元に届いたのだが、かえってそれが良かったと思っている。
初めに書いたように、初心者から上級者まで対象を向けてる本だが、本書をブログを始めてすぐの頃に読んで終えてしまうのは、素直にもったいなかっただろうなと思っている。(いや、まあ買えという話しか)
他のブログ本よりもよっぽど情報量が多く、書いていることを全て理解するためには、ブログに対する最低限の知識がついてからでないとおそらく厳しいだろう。また、初めに書いたように、本書はマネタイズを初めから目指してなく、あくまで人気ブロガーとしての信用の上での結果が、収益と捉えている。
とはいえ、その人気ブロガーを目指すために、セルクマでホッテントリの話など、ブラックではないがグレーに近い手法も多く紹介されており、なかなかがめつい要素も含んだ本だ。僕はここまでして人気ブログを目指したいなどは正直思えない(できない)が、ハングリー精神溢れるブロガーは本書を読んで挑戦して欲しい。
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