何度も書いてきているが、僕は現在、全てのSNSを休止中である。そんな中以前書評記事を書いた『節ネット、はじめました。 「黒ネット」「白ネット」をやっつけて、時間とお金を取り戻す』と同時に読んだのが本書、草野真一著『SNSって面白いの? 何が便利で、何が怖いのか』。『節ネット〜』のすぐ近くにあったから手に取ってみたのだけど、内容はそちらとは異なってあくまでSNSとは何かを概説した本だ。
「そんなこと知っているよ」を知る意義
ブルーバックスだけあって本書の対象読者は四、五十代の男性だと思う。あとがきに書かれているが、ブルーバックス出版社から「世のお父さん、お母さんが息子・娘が熱中しているSNSとやらを理解するための解説本」として著者にオファーが来たという。それに対し著者は「使い方なんて解説しても意味がない。その背後のあるものを知ることが百倍大事」と返し、出版社に理解させたという。
こんな記事をブログで公開している僕も、また決して有名でないこんなブログ記事を読んでいる読者の方も基本的にはSNSを理解し(しているつもりで)、使いこなしている側の人間だと思う。そんな僕たちがあえてよく知っているはずのSNSの解説本を読む意味はあるのかというと、これがアリアリなのだ。
本書を読んでいると「そんなこと知っているよ」といった項目が沢山ある。でもじっくり読んでみると、実はその裏の本質的な部分は知らなかったと気づく。例えば、あんなに超がつくほどの便利なサービスを無料で提供してくれているGoogle社が、どうやって儲けているか答えられるだろうか? 多分、多くの人が当たり前のものとして使っているあまり、考えたことないのでは?
革命は指先から?
本書の冒頭では、Googleの元CEOエリック・シュミット氏の「SNSとスマートフォンは『第五の権力』だ」という言葉が引用されている。立法・司法・行政という三つの権力に次ぐ第四の権力がマスコミの権力。近頃では散々「マスゴミ」だなんて言われているけれど、例え事実と異なっていようが、マスコミがこぞって話題にすれば簡単に人を「社会的」に殺すことができる、恐ろしい権力だ。
そして第五の権力とされるのが、僕たちの手の中にあるスマホであり、それを使ってのSNS。なんて言ったってアラブの春のような歴史的事件だって起こしてしまうのだから、立派な、というか超強力な権力だ。「ペンは剣よりも強し」と言うけれど、現代では「指先は剣より強し」。もはや「革命は指先から」とでも言うのか? そしてこの第五の権力の恐ろしい特徴は責任者がいないこと。誰もこの権力を止められない。
そんな恐ろしい第五の権力について僕たちは日頃深く考えもせず、歩きながら・電車に乗りながら・食べながら「行使」しているのだから。今一度立ち止まって少しは理解してみようとしてもいいのかもしれない。気になったら本書・『SNSって面白いの? 何が便利で、何が怖いのか』を。
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