【書評】メールはなぜ届くのか メールがわかればLINEもわかる

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 「LINEするね!」

 いつからか連絡ツールとしてLINEが王様となり、こんな言葉があらゆるシチュエーションで飛び交うようになった。でも、ほんの数年前まではこう言っていた。

 「メールするね!」

 このメールとはもちろんPCメールではなくて、ガラケーのキャリア・メールだ。僕自身、今はmineo(MVNO・格安SIM会社)を契約して、SIMフリースマホを使っているので、キャリア・メールというものがあったことすら忘れていた。

 思い返すと、ほんの数年前までは〜@docomo.ne.jpや〜@ezweb.ne.jpといったアドレスで日々、僕はコミュニケーションを取っていたのだ。親との連絡も、遊びも、バンドも、デートの約束も全部!

 LINEはとても便利だ。しかし、日本人が皆揃って、LINE株式会社一社のサービスに依存仕切っている姿は不健全であるとも思っている。

 ……思っているんだけども、残念ながら、まだ当分はLINEの時代は続きそうである。正直言って早く終わって欲しい。Facebookのメッセージみたいにあらゆる端末で使える訳でもないから、無駄にスマホ一台に縛られるし、案外不便だ。

LINEの時代にあえてメール

 そんなLINE天下の時代に、今回取り上げる本が『メールはなぜ届くのか インターネットのしくみがよくわかる』である。

 「メール? 古くさー。90年代の本かな」

 そう思ったあなたは、大間違いである。

 「ははーん。じゃ、せめて2000年代初頭だな」

 残念ながらそれも違う。聞いて驚くなかれ、本書が出版されたのは2014年なのだ!

 「今時メールかよ!」と、著者ですらブルーバックス出版部から企画が持ち出された際、こう思ったと、あとがきに正直に告白している。

 確かにタイトルだけみると、いかにも古くさい。しかし中身をちゃんと読んでみると2017年末現在でのウェブを理解する上でも、非常に役に立つ本だと気づく。なぜなら、本書で扱われている内容は、コンピューターやインターネットの基礎だからだ。そして、解説されているのは、それらがそう動いているかという根本的な原理なのだ。

 だから現に、出版されてから3年も経っているのに、本書の内容は古びて使えないなんてことがないのだ。半年前が一昔前になるITの世界の本なのに、である。

クラウドなんて、ただの流行り言葉

 ITの問題という、とっつきにくい内容を、ものすごくわかりやすい文章で理解させてくれるのが、著者・草野真一氏だ。以前『SNSって面白いの? 何が便利で、何が怖いのか』を読んだ際にも、その筆力には感動したが、彼の本の素晴らしいところはわかりやすい点だけでない。その平易な文章の背後には、著者自身の確固たる「哲学」が流れているのだ。

 例えば本書でも、最近になって馬鹿の一つ覚えとはこのことのように唱えられている「クラウド」という言葉を、単なるバズワード(流行り言葉)として「定義」する。納得である。というか、日本の場合は「クラウド」の意味を、「cloud(雲)」と「crowd(群衆)」がごっちゃ混ぜになっている気がする。だから、余計に意味が「カオス化」しているんだ。

 「ITの知識は万人が持つべき基礎知識」が、著者の持論だという。これは大いに同意である。IT知識は専門家のためのものじゃない。というか、そうやって「お任せ状態」にしておく限り、いつまでもただ詳しいだけの連中に弄ばれてしまうのだ。

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