【書評】文系人間からしたら宇宙人も同然!?  プログラマーやSEって、一体何している人たちなの?

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文系でも知っておきたいプログラミングとプログラマーのこと書評

  「プログラマーとSEって、どう違うの?」
 大学生の頃、ゼミの中で誰かふとと言い出したきっかけに、こんな会話が始まった。「というか、文系でもSEってなれるの?」「めちゃくちゃ激務なんでしょ?」――みんなよくわからないが、勝手なことを言い合う。ついには、ゼミ担当の某准教授も混じり出す。曰く、
 「うーん、僕だってよくわからないけど、大学でちゃんとコンピューターのこと勉強したような人たちはプログラマーになっている気がするなあ。SEは僕の周りの文系学部出身の人たちでもいっぱいいる」

 評者は文学の学士をとって大学を卒業したくらいだから、もろ文系の人間である。ついでに言っておくと、外国語学部卒である。自慢じゃないが、高校二年生以降、数学や物理といった理数系の科目は一度も受講したことがない。
 したがって前述の会話は、皆評者のような典型的な文系人間によるものだが、世の中の多くの人にとって、プログラミングに対する認識って、こんなものじゃないかと思う。


 本書『文系でも知っておきたいプログラミングとプログラマーのこと』は、そんなIT音痴の文系人間のまま社会人になってしまったあなたが、てっとり早くプログラミング・プログラマーのことを理解するためにうってつけの一冊である。プログラマーと呼ばれる人々が、日々行っているプログラミングという行為を理解し、また彼らプログラマーとともに仕事をする上で、どうしたらいい関係を築けるかが書かれている。こういった根本的なところから「プログラミングとは」ということを紐解いた本はなかなかないから、プログラミング自体には全く興味がないという不届き者の文系ビジネスパーソンにも、大いに役に立つことだろう。

 後半になると、実際にJavascriptやPHPを使って、簡単なプログラムを書く手順が書かれているから、構成論的にもプログラミングを理解できる。個人的には、この後半部の超入門者向けのプログラミング講座だけでも、読んだ価値はあった。

 少し気になるのは、この本の中で描かれているプログラマー像があまりにもオタクで変人すぎるような気がしてしまうところだが、まあプログラマーの特徴を極端に表すとこうなるんだろう。デスクの周りに萌フィギュアを置いたり、会社内を短パン&裸足でうろつくなどと、いくらなんでもそれはよっぽどな変人プログラマーぐらいの気がしてしまうが、実際に企業でプログラマーと接したことがないから、評者からはなんとも言えない。

 ちなみに、冒頭に書いた会話だが、先生の説明は適当なようで、かなりいい線をいっている。本書の中でも「プログラマーとSEは全くの別」として解説している。そして、「一般的にSE(システムエンジニア)には学生の頃からプログラミングに夢中になっていたような人は少ない」と著者も述べているから、まさに先生の言うとおり!である。

 評者の周りでプログラマーとSEになった人間は知っている限りでそれぞれ一人ずついる。前者は大学院で人工知能の研究をしながら趣味でプログラミングもやっていて、卒業後は某ベンチャー企業(転職サイト)でプログラマーになった先輩。後者は大学の友達で、文学部卒の典型的なIT音痴の男。「パソコンは電源入れることと切ることしかできない」と豪語していた彼だが、果たして、元気に働けているんだろうか……。最近は連絡を取っていないからわからないが、少し心配になる。

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