先日書いたように僕は現在、SNSの類を一切休止中である。思っていた以上に健全に過ごせている。また、たまたまここ数日ずっと外出していたので、何日もパソコンの電源すらつけていない。(もちろんタブレットやスマホは使っているのだけれど)
自己肯定意識から読んだ
そんなプチネット離れ生活を送っている中、昨日図書館でたまたま目について借りてきたのが石徹白未亜著『節ネット、はじめました。 「黒ネット」「白ネット」をやっつけて、時間とお金を取り戻す』。
言ってみれば自己啓発的と言うべきか、SNSから離れている自分の自己肯定意識から読んでみただけなのだが、なかなか面白く読めた。読み易い文体でかつ、面白おかしく著者自身のネットにまつわるエピソードが書かれていて、肩肘張らずに読めてしまえる。なかなかオススメの本だ。
Facebookが私を不幸にしている!
著者が節ネットを始めたきっかけはFacebook。お堅い会社員として勤めてきた著者だったが自由を求めフリーランスのライターへ転身。しかし現実は厳しく、月収はわずか二万五千円。貯金を崩して暮らす生活だったという。
そんな生活の最中、Facebookを開くと、何処其処の高級料理店で飯を食っているだの、誰々と飲んでいるだのといった「友達」たちの投稿と、それに対する「いいね!」やコメントが踊っている……。それを見た著者は「Facebookが私を不幸にしている」と確信したという。
なんというかこの状況、非常に僕の場合と似ているのだ。だが考えてみるとそれは当たり前のことかも知れない。近年になってネットから離れたくなる人の根本的な原因は、SNS疲れのような気がしてしまうのだ。
恥ずかしげもなく言ってしまえば、僕のような人間は負け組である。SNS上でのリア充アピールに取り組んできたけれど、それが下手でついに挫折した負け組なのである。ましてや僕なぞ、 天性の変わり者である。普通の人たちにとっての充実と僕にとっての充実というもの自体がだいぶギャップがあるのだから、そりゃリア充アピールの場のSNS——とりわけFacebook——が向いていないのは、当たり前である。
黒ネットと白ネット、それを分けるのは後悔するかどうか
著者は見た後にネガティブな感情だけが残るサイトを「黒ネット」、ためになったりするもののそれ故につい見すぎてしまいがちなサイトを「白ネット」と区分している。初めは黒ネットから離れてゆき、最終的には白ネットからもある程度の距離を取る「節ネット」を目指している。
なお、著者の中での黒ネットと白ネットを分ける定義を、見た後に後悔するかどうかで決めている。
前者の例として、Yahoo!ニュースのヘッドラインに上がるような芸能人の不倫ネタなどのゴシップ記事や、知恵袋、にちゃんねるまとめサイトなどのいいかにもな釣り記事
——例えば「不倫はどうしていけないのですか?(Yahoo!知恵袋)」——を挙げている。
後者の白ネットの例としては、ビジネス系のサイトや、Wikipedia、はたまた不動産サイトなどを挙げている。
もちろんこの白黒の定義は何がその人にとって役に立ち、また見た後に後悔するか否かなんて人それぞれ。正直言って、僕からしたらほとんどが黒ネットであるかもしれない。
先日は川端康成のWikipediaページを見ていて、「なんでWikipediaのくせに、なんでも盛り込もうとするんだ」と半ば怒りのツイート——その時はまだTwitterをやっていた——をしたくらいだし、はたまたNAVARまとめなんては開いた瞬間から後悔してしまう始末だ。もちろん大いにフル活用させてもらっていて、なくなられては困るサイト——例えば図書館の蔵書検索ページやSpotify——もあるが、そういうサイトは依存しようがない性質だ。著者はそのような仕事や生活で必要なサイトを「無害」と区分しているが、僕の場合は黒ネットと無害サイトしかないかも知れない。
節ネットすれば通信費もお得に。ただし若干情報は古め
一応、副題にあるようにネット依存をやめることによって時間だけでなくお金を取り戻すことも目標にしている本書。ただ、通信費を下げることを提案している項目については、今となっては少し古いなという印象。
携帯の契約を二年毎に通信会社を乗り換える手法など解説されているが、今となってはその手も明らさまには使えなくなってしまったし、そもそももっと安上がりの格安SIMが登場した。(一応MVNOという言葉は出てくるが、執筆時の2014年7月では、まだまだ黎明期の頃だと思われる)
本書に書かれているように、半年前が一昔前になるITの世界なので、この章については各自最新の情報と照らし合わせて読んで欲しい。
終わりに
もしこれを読んでいるあなたが、ネットから少し離れたいと思っているのならば、一読してみる価値は充分にある。ネットから離れるためのあらゆるアイデアが書いてあるので、ダイエットではないが、全部取り入れようとするのではなく、自分に合いそうな技を拾って試してみればいいと思う。
ちなみに、決してKindle端末を買わせたいアピールではないのだが、本書はKindle unlimted会員なら無料で読むことができるらしい。ただし、せっかくネットから離れたいのならばスマホやタブレットのKindleアプリで読むのではなく、Kindleなどの電子書籍リーダーで読んだ方がいいと思う。
原稿は8月25日(金)に某ショッピングモール内の上島珈琲で執筆。ちなみにその時の日記風記事はこちら

SNSの類を辞めた時の記事はこちら


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