最近、新聞の書評を意識して読んでいる。同じ家で暮らしている(別世帯で生活は全くの別)祖父母が朝日新聞を取っているので、書評欄が載っている日曜日の新聞を、翌日あたりに古新聞置き場から拝借してきては耽読したり、書き写したりしている。また、新聞に載った数日後には同じ記事がデジタル版にも掲載され、無料で読めるので有難いことこの上ない。
というのも、最初の頃は読了後の感想がてらになんとはなしに書いていた書評記事も、気づけば当ブログの主要コンテンツになりつつある。そんならばと、プロが書いたまともな書評を少し研究してみようと思い、身近にある新聞の書評を読み出したのだけど、なるほど確かにプロが書いた書評は面白い(ものが多い)。
ウェブで活躍するプロ書評家による文章術
そんな中、この度読んでみたのはプロ書評家が書いた文章術の書『伝わる文章を書く技術』。著者は広告代理店でのコピーライター業を皮切りに、現在では音楽ライターなど他方に渡る物書きとして活動している印南敦史氏だ。若手サラリーマン向けウェブメディア・ライフハッカーでの書評を書き始めたのは2012年からとのこと。
『ブラックミュージック この一枚』など音楽関係の著作を出していることからもわかる通り、基本は音楽ライター(だと思っている)。専門用語など一般的に知られていない語句を使いまくった悪文の例として、
例えばデルタ・ブルースが有するプリミティブなテクスチャーから(以下略)
と書いていて、どちらかというと彼の音楽記事の方を読んでみたくなってしまった。
「本の要約」の書評スタイル
著者がライフハッカーで書いている書評記事に関して、僕は今まで読んだことがなかった。ならばと、本書を読んだ後にいくつかの記事を読んでみたのだが、残念ながらあまり好きなタイプではなかったというのが正直なところ……。著者が本書で何度も書いているように、ライフハッカーでの書評はあくまで読者の役に立つことを第一に考えて書いているようで、彼の書評は、書き手の「自分(主観性)」を出さない、引用文を多用した「本の要約」といった印象だ。
僕も以前は本のまとめ的な、気になった・感動した文を引用した書評を書いていたが、だんだんとそのような書評をかいていても仕方がないなと感じ(そんなのはAmazonのレビュワーに任せればいいし)、現在書評のスタイルを探っている次第。だから著者が書く書評が僕には合わなかったのも、仕方がない。
もちろん、著者がライフハッカーで主に取り上げているビジネス書の類に、エッセイ的な書評を書いても仕方がないとも思うので、あれはあれで、大いにアリだとは思うけれど。
ウェブメディアを運営していても電子書籍には懐疑的
個人的には、最後の章に納められているライフハッカー編集長・米田氏との対談が一番内容が濃い部分だと感じた。ウェブメディアを運営している人間にも関わらず電子書籍に対してやや否定的な見方をしている点など、なかなか興味深い。
あとはなにより、十年前まで完全な夜型だった著者が、朝方の生活に切り替えたら、仕事の効率が大きく向上したという話。
ほぼ毎日夜中の2〜3時まで夜更かししては『仕事した気』になっていた。
うーん、耳が痛い。
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