【カネトショ】第九話 真夜中の成田空港

只今深夜の12時40分過ぎ。場所は、成田空港第3ターミナル。最終便で(普通列車!)地元駅から空港第2ビル(第2、第3ターミナルの最寄り駅)まで2時間半ほどかけてきた。これから朝までこうやって過ごして、朝7時の便で福岡空港へと向かうのだ。

なんというか、我ながら無茶なことをしているなと思う。でも辛くないのはまだ若いからだろう。むしろこの非日常的な行いによって、非常にみなぎっている。

人がいない空港で思いを巡らす

目的地の駅につくと、案外人がいないことに驚いた。真夜中(といっても自分が降り立ったのは23時半頃。終電がそもそも早い)に空港に行く人間なんて、そういないんだろう。駅から長い道を歩いて、ようやく着いた第3ターミナルにも、思ってた以上に人がいない!(実際には、写真の外にソファーで寝ている人がちらほらいる)
いつも人でごった返している様子をみていたので、なんだか変に思えてしまう。

深夜の成田空港第3ターミナルの写真

今はフードコートの机で、持ってきたお菓子と、空港の中のローソンで買ったコーヒーを飲みながら、これを書いている。もちろん、フードコートの各店は閉店している。

先ほどまで寝ていたと思われる子供が、向こうの方で「おい」だの「うい」だのしきりに言い続けていて、うるさい。なかなか元気な奴だ。仕方ないので耳栓をした。これで多少マシになった。耳栓様々である。

実を言うと、最近になってめっきり元気がなくなってきてしまい、いわゆる鬱の状態になってしまった。なので、これからの小旅行で気持ちが少しでも戻ってくれるといいと思っている。今朝は前に通っていた東京の病院に行き、そういう方面に効く漢方薬を出してもらった。その後はその周辺の店を歩きまわったり、図書館に借りている本を返却しに行ったりと、とにかく、珍しく忙しくしていたので本当は既に疲れているはずなんだけども、結構余裕だ。と、さっきまで思っていたのだけれど、もう段々と眠くなってきた。

保安ゲートまで行くのに、あと5時間ほど。さっきまでうるさかった子供も、寝たようだ。やけに静かになった。持ってきたそばぼうろとかいう菓子を口に放り込むと、耳栓をしているため、噛む度にボリボリと音が響く。これが唯一の刺激。はたして朝までもつだろうか。

吾輩ハ新卒デハル

ここに来るまでの電車の中では、夏目漱石の『吾輩は猫である』を読んできた。古本で持っていたのにも関わらず、ちゃんと新品で買い直したので、読み通す心意気は万全だ。(わざわざ買い直した理由は、新しい版の方が文字のサイズが大きくて、読みやすかったから。年寄りか!)朝までは夏目漱石と共に過ごすことにする。何度か途中まで読んでは、積読状態と化していたので、今回こそは読み通してやるのだ。吾輩ハ新卒デハル。職ハマダナイ。

さっきまで静かにしていた子供が、充分に休息を取ったと満足したのか、己の天職を全うすべく、元気に泣き出した。忙しい子供だ。きっと将来はそのまま、忙しいビジネスマンとなるのだろう。きっとその頃にはLCCなんて使わない人間になっているはずだ。

段々、眠くなってくる。紙幅も尽きてくる。今日はここまでとしよう。


元原稿は6月28日の深夜に執筆。飛行機に乗ったらすぐに寝たのは言うまでもない。
その後、楽しい旅行を過ごしたが、忙しくて原稿用紙に書く暇はなかった。