初めに断っておくと、決して民泊ビジネスを始めようだなんて思っているわけではない。神経質な僕のことだから、知りもしない他人を自分の領域に泊まらせるなんて考えられない。
ではなぜこんな本を手に取ったのかは自分でもよくわからないが、なんとなくここ最近聞くようになってきた、「民泊」というものについて知りたかったのだと思う。
オリンピックと民泊
民泊というものが、ここまで取り上げられるになった理由には、間違いなくオリンピックが関係している。2012年のロンドンオリンピックの際には、ロンドン市内のホテルの宿泊料があまりにも高くなったため、会場近くの民家に泊まり、そこから会場に行った人が多くいたという。
オリンピックと並んで、同じくスポーツのビックイベントといえばワールドカップだ。本書で散々取り上げられているAirbnbも、その成功のきっかけになったのは2014年のブラジルワールドカップだったそうだ。約60万室の宿泊施設のうち、15万室がAirbnbを利用した民泊で賄われたという。(17頁)
増加し続ける外国人観光客
それでは2020年の東京オリンピックが過ぎれば、民泊のブームは去るのだろうか? 著者の川畑重盛氏は、そんな質問に対してはNoと答えている。
理由は日本に来る外国人観光客の増加だ。確かに最近観光地に行くと、本当に外国人が多い。マジで多い。僕の住んでいる横浜なんかは成田空港から遠いというのもあってか、そこまで外国人ばっかりという印象を受けることは少ないけど、最近旅行で行った観光地の、日光や博多の太宰府天満宮なんかは、外国人の方が日本人よりもよっぽど多かった。
いつも満員の東京のビジネスホテル
当然、そんなに外国人が日本にやってくるのだから、ホテルに泊まる。するとホテルは満員になる。2016年時で、東京都内におけるビジネスホテルの稼働率が97%だったそうだ。(19頁)
そしたら当然、宿泊料は高くなる。これは自分も訳あって、東京か横浜のホテルに泊まろうとしてた際に散々調べたからよく知っている。ほんの小さな部屋の素泊まりシングルといったプランですら、1泊1万円くらい、普通にしている。正直いって馬鹿だ。僕は馬鹿ではないので、早々に諦めて友人宅に民泊することにした。
そんな訳で、高くなりすぎたホテルの穴を埋めるべく、最近になって日本でも取り上げられるようになってきたのが、Airbnbを利用しての民泊だ。
Airbnbの解説と民泊ビジネスを成功させるためのコツなど
第2章以降は、民泊ビジネスの始めた方として、Airbnbの登録方法から、使い方など詳しく解説されている。また民泊ビジネスを成功させるコツとして、初期にかけるべきのコスト面の話や、欧米人向けかアジア人向けかターゲットを決める等、民泊のいろはについても書かれている。
正直第2章以降は、民泊ビジネスを始めたいなんてさらさら思ってもいない自分には関係ないので、殆ど流し読みした。この辺に興味ある人は、じっくり読んで欲しい。
終わりに
本書でも触れられているが、近年になって民泊というものに注目が集まってきた背景には、日本の「空き家問題」がある。これは以前、日光で泊まったゲストハウスのオーナーさんも話していたことで、空き家を上手く利用して、ゲストハウスやカフェとして転用しようとする人がとても増えていると言っていた。(そして、大抵コケるとも言っていた)
日本政府は民泊を空き家問題(実は戸建てだけでなく賃貸物件も空室が多い)の解決策としても捉えているそうだ。(168頁)
確かに使われていない家や部屋を有効活用して、誰かのために役に立つなら結構なことだが、どうせなら「2020年までに訪日外国人数を年間4000万人」などと、目先の収入になる外国人観光客のことばかり考えてないで、少しは住むところがなくて困っている自国の若い世代のことも考えてくれても良いのだが。
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