ちょっと前から親指シフトというのを練習している。親指シフトとは、パソコンのキーボードの日本語入力の方式で、ローマ字入力ともかな入力とも違う第三の入力方式。ほとんどの人が聞いたことすらないようなマニアックな方式だけど、案外その歴史は古く、Wikipediaによると1979年に富士通が考案したものとのことだ。いうまでもなく当時はワープロ時代である。(ところで、僕の同年代ですらワープロって知っているのか? うちは子供の頃家にあってばあちゃんが使っていた)
世の中の大多数の人が使っているローマ字入力だと、母音以外の音は二打(「か」だとk/a)する必要があるが、親指シフトはかな入力と同じく一打で済ませる。またかな入力のように五十音のために上下四段使うこともなく三段で済ませている。濁音や半濁音ですら一打で済む。打数や手の上下が少ないことは、効率がいいだけでなく、なにより手への負担が減る。そのため、作家など尋常じゃない量の日本語入力をする必要ある人たちが取り入れているとのことだ。
普通のキーボードでOK
何でも一打で済むのならキーの数が足りなくないか? そう疑問に思った人は鋭い。この問題を解決したところが「親指シフト」という一風変わった名称にあらわれている。左右の親指を、その他四本の指と組み合わせること(例えば右手人差し指+右手親指)によってそれを可能にしているのだ。だから実際のところ、一打(ワンアクション)で済むと言っても、同時に二つのキーを叩いていることが多い。
そのため一応は売られている親指シフト専用のキーボードには左右の親指のためにスペースキーを真っ二つにぶった切ったようなレイアウトになっている。とは言っても、そのような専用機を買わなくとも、エミュレーターソフトを使うことにとって、左親指をスペースキー、右親指をかなキーに割り当てて使える。
ちなみに僕は一丁前にもMac・Windows・Linuxそれぞれに親指シフトの入力ソフトを入れてある。(MacがLacaille / WindowsがやまぶきR / Linuxがoyainput)
分速数文字の亀さん
さてだ。初めに書いたように僕は数日前から親指シフトを始めた。ここまでさぞ偉そうに能書きを書いてきたが、何を隠そうずぶの初心者である。どれくらいの初心者かというと、分速三文字程度(このブログ記事起こしている今はさすがに十文字から二十文字程度かな)の初心者だ。冗談のようだが、キーボードにある印字がまるで意味の世界(つまり完全ブラインドタッチしかありえない)で、印刷したレイアウト表と照らし合わせなければならないので大真面目にこうなのだ。
初めの頃は不規則(この不規則な配置に使いやすさのミソがあるとのことだが)に並んだレイアウト表から打ちたい文字を探すだけで苦労する。僕はこういう探し作業がどうも苦手だ。
中には三つの音を担っているキー(単独打ち / +右親指 / +左親指)もあるので、相当頭がこんがらがる。頭がムズムズする。左でギターを弾いてみた時の感覚だ。

Macのキーボードと親指シフトのレイアウト表。なおレイアウト表はWikipediaにあった画像を印刷した。
親指シフトのメリットとデメリット
ここまで苦労しておいて、親指シフトをマスターしたいと思うのには、もちろんその苦労に適う利点があるから。そのメリットとは、前述したように効率良く入力ができる(言い換えるとタイピング速度の向上)点と、手指の負担軽減だ。なんせギタリストなんでパソコン打ち程度で腱鞘炎にはなりたくない。あとは少数派を気取れるというのもある。こうやってブログに書くネタになっているので、こういう点を馬鹿にするなかれ。
反対にデメリットとしては、
- 慣れるまでとてつもなく時間がかかる
- ソフトなどの環境に依存する
- 両手全ての指を均等に使う必要がある
といったところか。
一つ目の慣れについてはもはや述べることもない。二つ目についても、なんだかんだ言って全ての親指シフト入力ソフトが使えなくなるとことはあまり考えられない。強いて言うならば、マイナーな分、Linuxが一番心配。
三つ目については案外大事で、左右の親指を駆使するために、例えば左手でおにぎりを食べながら右手でキーボードを打つといった真似ができない。やっていた人はお行儀が悪いのでこの際やめましょう。また左右十本の指どれか一本でも突き指などで不自由になってもなかなか難儀するだろう。指は大事に、である。
終わりに
めちゃくちゃ苦労はしているが、もう少し頑張って覚えてみようと思っている。何より新しいことを覚えるのは楽しいし、脳にもいい。これは以前デレク・トラックスよろしくオープンEでギターを弾けるように練習していた時にも感じたことだが、頭が活性化する気持ちになるのだ。
とはいえ毎分数文字ののろさでは、とてもじゃないが数千字の記事を起こすことはできない。ではどうしているかというと、基本的には音声入力で大雑把に起こした後、手打ちで補正している。その音声入力についてはまた今度。
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