「速読」。それは本を読む人間だったら一度は憧れる技術なのかもしれない。 僕自身、読むのは比較的早い方だとは思っているけど、もっと早く読めるようになるのなら、それに越したことはない。
何度か速読について書かれた本を手にとってパラパラと読んだことがあるのだけれども、変な図形がたくさん描かれていたり、やたらフォントサイズが大きかったり小さかったりする文字が並んでいたりと、摩訶不思議な本だったので、視力検査の本と勘違いして、決まっていつも一分以内に本棚に戻していた。
高速大量回転のススメ
その手の速読本とは違って、本書(宇都出雅巳『1日1分からはじめる 速読勉強術』)が提唱している速読法は一貫している。それは「高速大量回転法」。
著者が提案する「高速大量回転法」のコンセプトは、超シンプル。読んで字のごとく、とにかく高速で一冊の本を何度も何度読み通しましょうというものだ。以下に記したが、読む範囲を最初はものすごく絞り、徐々に広げていくといった手法だ。
- まずは、表紙を眺めよう。表紙を何度も眺めているだけでも自分がどんな本を読もうとしているのかが、自己暗示できる。だから積読はいいことだ。
- 積読ができるようになったら、まえがきとあとがきを何度も読む。著者が伝えたいことの要約がそこに書かれているからだ。
- 表紙、まえがき、あとがきを読めるようになったら、次は目次を何度も読む。どんなことが書かれているか、頭にインプットしよう。
- あとは、見出しや太字の一文だけでもいいから、一冊の本を何度も回転させる。
目次の重要性——目次で本の内容を総復習
僕は実のところ、本の目次というのを、あんまり重要視していなかった人間だ。もちろん、卒論を書いてたときには、一冊の本を読み通している余裕などなかったので、目次で自分の読むべき箇所を絞って、そこだけ読んでいた。ただ、普段の完全に趣味としての読書の際は、目次はすっ飛ばして、読み始めて、後で目次を読み返すこともなかった。
ただ最近、こうやって書評記事を書くようになってから、図書館に本を返却してから、手書きのメモと記憶を頼りに書評を書くことも増えてきた。というより、実際いちいち本を開いて内容を確認しているよりも、そちらのほうが効率がいい。本のコピペ記事にもなりにくく、オリジナリティもでる。
そして、どんなことが書かれていたか、思い出すきっかけとして、目次が大変役になっている。 最近は便利なもので(年寄り臭い文句だなあ)、わざわざ目次をコピーしたりしなくても、結構Amazonのページや、出版社のサイトで、目次くらいは転がっているものだ。古い本だと、ないこともあるが、新しい本だとたいてい見つかると思う。
終わりに
ちなみに、この本、タイトルからはわかりにくいが、資格習得のための技術を念頭に置かれて書かれている。(え、そういうことは最初に書けって?)
僕もまんまと勘違いして借りてしまった。ただ、まあ、新書本や実用書などにも「高速大量回転法」の技は充分使えるので、そういう技術もあるという参考程度に読んでみるといいかもしれない。
あと、本書のAmazonのレビュー欄には、結構、低評価のコメントも並んでいる。
しかも大抵、一文から2.3行程度の短文だ。 まあ、その人たちの書いていることもわかるのだけれども、500円で買えるKindle本としては、及第点じゃないかなと思う。ちなみに僕は言うまでもなく、図書館で借りて読んだ。(ただし、紙の方は絶版のようなので、Kindle本の方で紹介しておいた。紙でも電子でも、好きな方を読んで欲しい。)
やっぱり、言っちゃあ悪いけど、概して紙の本の読者よりも、Kindle本の読者の方が民度は低い印象を受けてしまう。
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