2010年製のLenovoのノートPC、ThinkPad T410にUbuntu Studioをインストールしたので、自分の備忘録を兼ねて文章に残しておく。
実を言うと、Ubuntu Studioの前にUbuntuファミリーの中でも軽量なことで有名なLubuntuを入れてみたんだけども、どうも使い慣れず、いつも使っているUbuntu Studioに入れ直した。
連続でUbuntu系のディストリビューションを入れたのでよく分かるが、基本Ubuntu系の亜種であれば、どれもインストール手順は同じだ。そのため、この記事で解説しているのは、Ubuntu Studioのインストール手順だが、UbuntuやLubuntu、Xubuntuをインストールする場合でもやり方は変わらないので、本記事の内容を参考にして頂ければ幸いである。
Lenovo ThinkPad T410
今回Ubuntu StudioをインストールしたPCはこちら。2010年モデルのLenovo ThinkPad T410。ThinkPadだけあって(?)、元は親戚の知り合いが仕事用に使っていたもの。古くなり使われなくなっていたところをちゃっかりもらってきたのである。
このT410は、以前あげたLinuxをデュアルブートしたWindowsマシンからLinuxを消去する手順をまとめた記事にも登場したやつでもある。そのときは母にこのPCを渡すためにUbuntu OSを削除したのだけど、このたび、また僕の手元に返ってきたので再インストールした次第だ。

スペックは以下の通り。メモリーは4G。CPUは古いけどi5。普通にブログを書いたりする文には十分動く程度の性能である。アンチグレアの液晶は見やすいし、ThinkPadモデルのキーボードはとても打ちやすい。「真面目な仕事用」と割り切って使う分には、とてもいいPC。
また、デュアルブートして使うためWindows側も残しておく。32bit OSなのが少し残念ではあるけれど、Windows7のためか、動きも軽快で、使っていてもストレスは感じない。
Ubuntu Studioとは
今回インストールするLinuxのディストリビューションは、僕がいつも使っているUbuntu Studio。Ubuntuのクリエーター向けの亜種で、音楽制作・画像編集・動画編集用のアプリケーションなどが標準でインストールされている。また、デスクトップ環境は通常版のUbuntuがUnity(Ubuntu 17.10以降はGNOME)に対し、Ubuntu StudioはXfceとなっている。そのためか、普通のUbuntuよりも動作は軽い印象がある。
通常版とLTS版
また、今回は17.10と、長期サポート版ではなく、初の通常版をいれることにした。一応書いておくと、Ubuntuシリーズには、通常版と長期サポート(LTS)版が用意されており、通常版が半年ごと、LTS版が2年毎のリリースとなっている。
半年ごとに新しいOSが使えるのなら、通常版のほうがいいじゃないか! と一見思ってしまうが、通常版はサポート期間が9ヶ月しか用意されていないため、新しいものが使えるかわりに頻繁にOSを更新しなければならないのだ。また新しいがゆえの不具合も生じる可能性もある。
対して、LTS版はリリースは2年ごとであるが、サポート期間は5年も用意されているため、インストールしてから当分のあいだはOSのバージョンアップのことを考えなくとも済む。また、長いリリース期間の間により多くの人に使用されている分、不具合も改善されている。
言ってしまえば通常版には最新版としてのよさ、LTS版は枯れたものの良さがある。僕は今まではずっとLTS版をインストールして使っていたのだけど、今回は初めて通常版を入れてみた。とは言っても、2018年4月26日には、Ubuntuの次期LTS版である「Ubuntu 18.04(コードネームは、『Bionic Beaver』)」がリリースされるようなので、この17.10のサポートが切れ次第、そちらに切り替えてしまうと思う。
Windows OSを使ってインストールディスクを用意する
まずは、Ubuntu Studioのインストールメディアを用意するため、Windows7を起動させる。Ubuntu Studioのダウンロードは以下の公式からダウンロード。
前述したように、今回は通常版の17.10をインストールするため、「Artful Aardvark 17.10」を、64-bit版で直接(Tottrent経由でなく)ダウンロードする。32bit版と64bit版が用意されているが、今はよっぽど低スペックのPCでない限り、64bit版を選んでおいた方が無難だと思う。32bitだとGoogle Chromeもインストールできないし。
Ubuntu Studioは前述したように、音楽制作・画像編集・動画編集のアプリケーションが詰められたディストリビューションのため、インストールメディアだけでも2.7GBと、容量はかなり大きめ。サーバー自体の回線速度もそんなに早くないのも相まって、ネット環境によってはダウンロードに時間がかなりかかってしまうかもしれない。
UNetbootinでisoファイルをUSBメモリに焼く
ダウンロードが完了したら、UNetbootinというアプリを使って、isoファイルをUSBフラッシュメモリに焼く。もちろん、普通にDVD-Rに焼いてインストールディスクを作るのでもいいのだけど、経験上、DVDよりもUSBメモリからやった方がインストールが早い。あと、なぜかインストール画面が綺麗に映し出されるので、高級感がある。
Unetbootinは以下のページから。Windows・Mac・Linuxそれぞれ用意されているので、各々のOSのものを選してダウンロードする。
UNetbootinを開き、「ディスクイメージ」にチェックをし、 「ISO」を選択。「…」をクリックし、先ほどダウンロードしたUbuntu Studio17.10のインストールファイルを選択する。タイプは「USB ドライブ」、ドライブはUSBメモリを刺しているドライブを選択して、「OK」でメディア作成の開始。
インストールディスクが出来上がったら、Windowsをシャットダウンして、いよいよこれからUbuntu Studioのインストールである。
ThinkPadにUbuntu Studioをインストール
通常、多くのPCでは起動時での優先順位がUSBドライブは低いため、インストール用USBメモリを刺していたところで、いつも通りWindows OSが起動されてしまう。その為に、BIOS画面で、USB Hard Driveの起動順序を内臓ハードディスクよりも先に来るように設定したりするのだが、それが結構ややこしい。
ThinkPadの場合は、起動時にF12を押すとBoot Menuが立ち上がり、どのメディアから起動するか選択できるようになるので、ここで差し込んでいるUSBフラッシュメモリを選択すれば、USBから起動してくれる。他のPCの事情はわからないが、多分他メーカーのPCでも同じようなことはできると思う。
という訳で、PCを起動させてすぐに(大きくThinkPadと表示されてうちに)F12を押し、Boot MenuからUSBを選択すると、UNetbootinの画面が立ち上がる。「Install Ubuntu Studio」を選択するとインストールが開始される。なお、インストールはしないで、とりあえずUSBから起動させて試しにUbuntu Studioを使ってみたい場合は、「Try Ubuntu Studio without intalling」を選択する。
言語は日本語を選択。
インストール中、同時にアップデートをダウンロードするか、サードパーティソフトをソフトをダウンロードするかなど聞いてくるがお好みで選択する。なお、ネットに繋がってなければこれらは選択できない。
次のインストールの種類画面、これはとても重要だ。ここで、全てのファイル(Windowsのデータも全て)を消した上で、Ubuntuをインストールするか、Windowsを残した上でUbuntuをインストールするか(つまりデュアルブート化)選択する。
僕は、このUbuntu Studioをインストールする前にLubuntuをインストールしていたので、このような画面だが、初めてLinuxをインストールするPCだと以下のように表示されているはず。(写真はLubuntuインストール時の画面)
ここは事前によく考えた上で選択を。僕は、先立ってインストールしていたLubuntuの領域にUbuntu Studioを上書きして、Windowsは残しておいた。
地域の選択画面。Tokyoを選択。(本当は横浜だが)
キーボードレイアウトの設定。一般的な日本語配列のキーボードで普通に使っている分には「日本語」の「日本語」でOK。
ユーザー情報の設定
ほぼ家でしか使わないPCのため、「ログイン時にパスワードを要求」のチェックは外しておく。
ここまで入力すると、あとはインストールが開始される。インストールには十数分から數十分はかかると思うが、気長に待つ。
インストールが完了すると、再起動するように勧めてくるので、再起動する。
無事Ubuntuがインストールされると、今度からは起動時にUbuntuかWindows、どちらを起動させるか選択するようになる。デフォルト設定では、ここで放っておくと、すぐにUbuntuが起動されてしまうので、あくまでWindowsメインで使っていきたい人は設定で優先順序をWindows優先にした方が使いやすいと思う。
Ubuntuを起動させると、ソフトウェアのアップデートなどがあると思うので、インストールしておく。
無事Ubuntu Studioがインストールされたので、あとは普通にPCとして使うのみである。
さっそく、いつも使っているアプリケーションしておいた。インストールしたのは
- Google Chrome
- DropBox
- Spotify
- VLC
といったところ。Chrome以外はUbuntuソフトウェアセンターから簡単にインストールすることができるし、Chromeだって以下の公式ページからダウンロードして、簡単にインストールできる。
終わりに——インストールは簡単、使うのは日々勉強
かれこれLinuxをサブ用途のPCとして使い始めて2年くらい経つだろうか。初めてLinuxをインストールしたのはいつだったら忘れてしまったが、案外簡単だなと思ったのはよく覚えている。
そう、Linuxのインストール自体はとても簡単なのだ。そして、普通にブラウザで検索したり、メールアカウントを設定してメールをやりとりするくらいなら今まで普通にPCを扱えていた人なら誰だって問題なくできると思う。
ただ、ちょっと設定で困ったとか、不具合(ぽいもの)が出てきたなんていうときに、それを解決するためには結構根気が必要になったりする。僕もさっそくWi-Fiに関する問題が出てきて、これからそれを解決しなきゃいけないなあというところである。
僕が手に入れたT410には、無線LANが内蔵されていないので、USB接続タイプの外付け無線LAN子機を付けているのだけど、Wi-Fiに接続していても数分で接続が解除されてしまうのだ。(使っている無線LAN子機は以下のもの)
とにかく、こういう一つ一つの問題に対して、自分で調べて(情報が少ないから、必然、英語で調べることも多々)解決するのは正直言って面倒だし、他の人にLinuxを強く勧める理由というのも、あまり思い浮かばない。
ただ、なんか好きなのである。この、free(無料でかつ、自由に)で使えるという文化が。Linuxを使えるようになれば、MicrosoftやAppleという企業の、ただのいいなりにはならないぞ! という気持ちにもなれる。大袈裟なようだけど。
ただし、やっぱり使いこなすのは難しい! 僕だって全然使いこなせていない。そんな訳で、Linux初心者に是非ともオススメしたいのが、ブルーバックスから出ている『入門者のLinux 素朴な疑問を解消しながら学ぶ』という本。
この本はとても良い。何か問題が起こるごとにGoogle検索しているだけでは身に付かない、「Linuxの仕組み」というのがよく分かる。ああ、Linuxって、こういう考え方なのねって、そういうのが分かる。
僕自身、最近になって読み始めたんだけど、もうちょっと早く手にとっておけば良かったと思っている。新書にしては少し高めだけど、内容を照らし合わせれば、十分に安い。
これからは、このUbuntu StudioをインストールしたT410で、どんどんブログ更新、新サイトの作成など頑張っていこう。どうぞよろしく。
コメント
ThinkPad T410にUbuntuを入れようと思っていたので
とても参考になりました。
Ubuntuは聞いたことあるけど
Ubuntu Studioについては初耳なので
調べてみます。
コメントありがとうございます。参考にして頂けたなら光栄です。
Ubuntu Studioは音楽や写真などをやっている人にとってはとても良い選択肢だと思うので、ぜひ一度使ってみてください。