人生初の万年筆に感動——千円で買えるカクノで万年筆デビューを果たした話

雑記
パイロット「カクノ」とそのインク

今週の日曜日に人生初の万年筆を買って、日月火水とずっと使い続けた。なるほど確かにボールペンよりも断然書きやすいなと思った。

日曜日に四百字詰めの原稿用紙十五枚程書き、その後の月火水は五〜七枚程書いていたらいよいよインクが切れてしまった。案外万年筆のインクは、すぐに切れてしまうらしい。若しくは、ボールペンよりも、よっぽど書き心地が良いため、何枚もすいすい書いていて、インク切れになってしまったのか。

今はインクを付属していた黒からブルーブラックに変えてみようと思い、色抜きのためペン先をコップの水に浸けてある。黒からブルーブラックに変える程度で、ここまでする必要があるのかはわからないが、とりあえず書いてある通りに、前のインクの色抜きをしてみた。

水につけたペン先
そのためこの原稿は——僕は最近では、まずは何でも原稿用紙に手書きしているのだ——これまで愛用していたSARASAで書いているのだが、やっぱり万年筆で書いているとき程の気持ち良さはない。SARASAも他のボールペンに比べたら、充分書きやすいのだけれども。

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子供向けだけど大人にウケたカクノ

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ここまで書いておいて——手書きをしていると、書くと言う言葉を躊躇なく使えていいぞ——僕が買った万年筆について紹介していなかった。僕が買ったのは、パイロット社のカクノという、子供向けに開発された万年筆だ。

子供向けに開発されたのに関わらず大人が飛びついているお手頃万年筆のカクノ。
パイロット社 カクノ(青)とこれから交換するために買ったブルーブラックのインクカートリッジ

なんでも、欧米では子供向けの万年筆というのが売られていて、それらのマーケットが確立されているらしい。翻ってここ日本では、子供が万年筆を使うなんてまずなく、それどころか小学校ではシャーペンは使っては駄目で、鉛筆を使いなさいと言われるような有様だ。(当時としては珍しいものだったとは言え、)宮沢賢治だってシャーペンを愛用していたというのに、アナクロニズムも良いところである。

それはともかく、そのような欧米の様子を見て、パイロット社は万年筆に対する憧れが子供の間にもあるのではないかと考え、開発したのがこちら。

結果としては、ターゲットにしていた子供よりも、大学生や社会人が飛びついたようで、今頃とはいえ僕もその一人。なんてったって、僕も含め多くの平成生まれ——それ以前の世代でも?——にとって万年筆なんて間近で見たこともないような代物で、かつその値段も縁がない程高いという認識だったので、それが千円で買えるならば、使ってみたくなるのが自然だと思う。

上のクラスも試したくなるのはパイロットの思惑通り⁈

お高い、というか本物の万年筆と違って、ペン先はステンレス製のため、書き心地は金ペンとは若干異なるとのこと。正直、カクノだけでも充分満足できるのだけれど、上のクラスになるともっと書き心地が良くなるならば、試してみたいなとも思っている。

きっと、スチューデントモデルとしてカクノで親しんでもらった後は、より上位モデルを買ってもらおうというパイロット社の思惑にまんまと掛かってしまっているのだ。

ただまあ、どうせだったら一生を通して愛用するような万年筆ならば、プレゼントされたり、昔使っていた物を貰ったりと、特別な体験が付随したら素敵だよなと、なかなか都合のいいことを考えている。(要するに、誰かくれと言いたいのだ)

百均の万年筆はNGです

余談ではあるが、意外にも万年筆は百円ショップでも売られている。徒らに一本買ってみたが(某Z社の中国製)、あまりお勧めできない。元からの期待度が殆どなかったので、始めこそまともに文字が書けることに感動していたのだが、原稿用紙三枚程書いていたらインクの出が悪くなってしまった。

と書きながら、一日ぶりに筆箱から出して使ってみたら、インクがちゃんと出る。僕の書き方が悪かったのかな? とは言え、書き心地はそれ程良くない。なんというか、油性マジックの極細側で書いているような、滑りの悪さ。

終わりに

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なんてったって万年筆デビューをしたのが五日前なので、長年万年筆を使っている人からすれば何言ってんだという感じだと思う。

とは言え、人生初の万年筆に感動しているのだから仕方ない。こんな時代だからこそ、紙にペンという組み合わせはそれだけで個性派を気取れて、なかなかお得だ。なんといっても最も直接的で、書きたいと思った時に書ける状態というのが、デジタルにはない利点である。

原稿自体は8月24日の木曜日に、某ドトールにて執筆。その後インクをブルーブラックに変えて使っているが、正直黒の方が良かったかもしれない。迷い中だ。