GeForce NOWを実際に使ってみて感じたメリット・デメリット
GeForce NOW(ジーフォース・ナウ)というクラウドゲーミングサービスを契約し、Apex Legends(エーペックスレジェンズ)を遊び始めて1ヶ月以上が経ちました。
筆者は最初プレミアムプランの31日間の無料体験として契約し、その体験期間が終了する間際にフリープランが発表されたというのもあり、その後はそちらに移行して今現在もGeforce NOWを楽しんでいます。
今回は使い始めて1ヶ月経った筆者が実際に感じた、GeforceNOWのメリットとデメリットについて解説します。
GeForce NOWのメリット
まずは、GeForce NOWを利用して感じたメリット(良い点)から。
ゲーミングPCがなくても最新のPCゲームが遊べる
なにより、一番のメリットはハイスペックなゲーミングPCでなくとも、Apexなど流行りのPCゲームを遊ぶことができるという点でしょう。
筆者が遊んでいるようなApexを最低限遊べるスペックのPCとなると、GTX1650を搭載したBTOゲーミングPCなどとなり、少なくともモニターなど除いたPC本体だけで10万円以上は確実にしそうです。(徹底的にコストを安く抑えた自作PCを除く)
しかし、GeForce NOWであればプレミアムプランで月額1,980円(税込)、フリープランでは文字通り無料で利用できるので、このコストの差は非常に大きいです。
GeForce NOWでは、一番大事なのはとにかく回線速度のため、PCなどデバイス自体のスペックは面白いくらい関係ありません。おそらくYouTubeで4K画質まで再生可能くらいのスペックであればOKな気がします。
筆者自身、第二世代Core i5/メモリ4GB /キーボード無反応という半分ジャンクなDELLのオンボロノートPCでもGeForce NOWを使ってみましたが、問題なく快適に遊べてしまったのには驚きでした。
Macでもゲームができるようになる
筆者のメインPCは15.4インチMacbook Proなのですが、この本来ゲームに全く向いていないMacでも、Apexなど最近の流行りのゲームがプレイできるようになったのは非常に嬉しかったです。
一応、MacでもBootCampを利用することで、WindowsをインストールしてApexなどPCゲームを楽しむことは理屈上では可能ですが、ほとんどのMacはGPUがゲームをやるには向いていないものなので、実質不可能と考えておいていいでしょう。
そのため、GeForce NOWの登場によりMacでもWindows機と遜色なくゲームを楽しめるようになったのは、筆者は革命だと思っています。
筆者が実際にMacで始めてGeForce NOWを使ってApexを遊んだときの感想については、以下の記事で述べています。
スマホやタブレットでも遊べる
スマホやタブレットでもPCゲームを利用できるようになったのもまた、非常に革命的なことだと思います。
Geforce NOWの公式によると、Androidでのシステム要件は以下の通り。
- Android 5.0以降
- メモリ2GB以上
- OpenGL ES3.2以上
言ってみれば、2021年売られているほぼ全てのスマホで完全対応であり、数年前のスマホでも問題なく動いてしまうスペックです。
現に筆者はGalaxy A7という、楽天モバイルで実質3,000円程度で入手できた低スペックスマホでもGeForce NOWのApexを何度もプレイしましたが、動作自体はPC同様、キビキビ。
流石に画面サイズから、Apexのようなゲームでは遠くの敵を発見したりなどかなり厳しいですが、タブレットであればかなりイケちゃうと思います。
容量を圧迫しない
GeForce NOWではゲームデータを全てクラウド上に保存するため、PCやスマホなどのデバイスの空き容量を圧迫しません。使うのはGeForce NOWのアプリ分(Macだと653MB)程度で、後述するようにiOSなどブラウザから遊ぶ分にはそれすら不要です。
筆者自身、最初当たり前のように使っていましたがこれは結構すごいこと。普通、PCゲームとなると軽めと言われているApexでも50GBとかそれ以上を必要とし、CoD:MWみたいな重たいゲームだと200GBを超えたりするとか。
そのため、PCゲーマーはゲームの保存用に外付けのSSD(HDDだと読み込みが遅い)を度々必要とするみたいですが、GeForce NOWであればこのコストも不要です。
GeForce NOWでは1ゲーム当たりにつき最大で250GBまでの容量を割り当てているとのことなので、たいていのゲームはOKではないでしょうか。(そもそも250GBを超えるゲームはGeForce NOW非対応タイトルになっているはず)
ちなみに、GeForce NOWではゲームのアップデートも自動で勝手に行っているため、アップデート自体を意識することもありません。
ブラウザからでも遊べる
GeForce NOWはMac/WindowsではGoogle Chromeから以下のページにアクセスすることで、アプリを介すことなくブラウザだけで遊ぶこともできます。検証していませんが、おそらくUbuntuなどLinux系でもこの方法なら遊べるはず。
https://play.geforcenow.com/
この点のメリットは、ずばり自分のPCじゃなくても遊べちゃうことでしょう。例えば、筆者の大学では、1泊2日(金曜日レンタルなら月曜日まで)ノートPCを借りることができました。
たいていの場合、こういうPCにはセキュリティ的に勝手にアプリはインストールできないようになっていたりしますが、流石にGoogle Chromeくらいはインストールされているので、こういったレンタルしたPCでゲームを遊ぶこともできちゃうわけです。
おそらく実際の使用感はアプリ版の方が安定しているとは思いますが、試した印象としては、はっきりと感じるほどの明確な違いはありませんでした。
GeForce NOWのデメリット
反対に、以下からはGeForce NOWで感じたデメリット(悪い点)を紹介します。
料金が高い
先に述べておくと、筆者自身はサービス内容からするとプレミアムプランの月額1,980円(税込)という料金は決して高いと思いません。むしろ、実際にゲーミングPCを買わなくても良いことを考えると安いと思っています。
しかし、ネット上の評価は料金が高すぎるという意見がかなり多くなっているので、この点は見逃せません。
実際のところ、本国のアメリカではサービス開始時点で4,99ドル(約550円)、その後値上げされたとはいえ今でも9.99ドル(約1,100円)という料金設定がされていることを考えると、日本での料金は確かに高いように感じます。
この辺りの日本でのだいぶ上乗せされた料金設定は、阿漕な大手携帯電話会社二社が絡んでいるといった背景が大いにあるでしょう。
ただし、2021年6月からは誰でも利用できる連続利用1時間のみなど制限を設けたフリープランも開始されたため、「料金が高い」というこの不満点は、今ではほぼなくなったと思います。
なお、この誰でも利用できるフリープランというのは、本国アメリカではサービス開始当初から展開されていたので、この辺りも日本の携帯会社ならではと感じてしまいます。
フリープランについては、以下の記事で詳しく解説しています。
回線速度に依存する
GeForce NOWでは、デバイスのスペックに全く依存することはありませんが、その反面、とにかく大事なのはネットの回線速度。
この辺りのGeForce NOWで必要なネット環境については、以下の記事で詳しく解説していますが、とにかく光回線は必須となります。
WiMAXを利用していたり、固定回線を持たずにスマホの大容量プランだけで済ませている人は、ほぼ確実にGeForce NOWを使うことはできません。このネット環境に対しては相当に高い要求水準が、結果として利用者の伸びにブレーキをかけているように思います。
なお、GeForce NOWのレビューで多くある「今後5Gが普及すれば期待できるかも」といった意見ですが、個人的にはどうだろうなと懐疑的に思っています。
先日発表されたドコモの「home 5G」みたいなサービスが本当に光ファイバー同等なくらいの速さを誇り、かつどれだけ使っても制限掛けられることがないといった未来であれば希望を持てますが、現状の5Gを見ている限りはまだ無理でしょう。
ゲームソフト代は別途必要
勘違いしている方がいますが、GeForce NOWに契約しても対応タイトル全てが遊び放題なわけではありません。有料タイトル作品は、当然Steamなどから購入する必要があります。(すでに所有していた作品はGeforce NOW内でもそのまま遊べます)
個人的には何を今さら、という感じなのですが、意外と勘違いしている方は多い様子。
例えば、Cyberpunk 2077をSteamで購入する場合、通常価格で8,778円なので、もしこれを月額1,980円のGeForce NOWプレミアムプランを契約しただけで遊べていたとしたら、ちょっとお得過ぎて、あり得ないとは思うのですが。
ただし、筆者が遊んでいるのはApexなど無料タイトルだけなので、実感としては「完全無料で遊び放題!」なのですが、有料タイトルを遊びたい場合には別途購入しなくてはならないのでたしかにお得感は薄くなるのかもしれません。
YouTubeのレビュー動画で、GeForce NOWを契約しても対応タイトル全てを遊び放題になるわけじゃなかったと、酷評しているものもありましたが、流石にそれは下調べしなかったのが悪いかと…。
対応ゲームが少ない
GeForce NOWで遊べるゲームはSteam(スティーム)やEpic Games(エピックゲームズ)などお馴染みのゲームプラットフォームで配信されている作品となっており、対応していないゲームは数多くあります。
例えば、「原神」などは非対応。この辺り、もっと色々な作品が遊べるようになればもっと利用者の幅が広がるかと思いますが、一つ一つのゲームの動作状況をチェックする必要性なども考えると難しいのかもしれません。
フルHDかつ60FPSの制限
GeForce NOWでの最高画質は1920 × 1200といったフルHDよりもちょっと縦長かつ、フレームレートは60FPSまでとなっています。
例えば、大きなモニターでグラフィックの綺麗なゲームをプレイするときには4K非対応なので、物足りないかもしれません。
また、なによりApexなどフレームレートがとにかく勝敗に影響するFPS系のゲームでは、ハイスペックなゲーミングPC+高リフレッシュレートのゲーミングモニターなどといった、環境を揃えているプレイヤーに勝つことはかなり難しく、大きな足枷となってしまいます。
この辺りの最高画質やフレームレートに関しては以下の別記事で詳しく解説しています。
MODやチートツールが不可
GeForce NOWでゲーム中に操作しているのはクラウド上にあるNvidiaのコンピューターのため、そのPCに追加でなにかソフトウェアをインストールしたりすることは当然不可能です。
そのため、MODやチートツールのインストールは必然的に不可能となっています。
個人的にはこの点はApexでも運営を悩ませているチーターを生まないという意味で、メリットの方が大きいと思うのですが、「MOD」をインストールしたい方には結構なデメリットかも。
流行りのゲームに触れてみたいといったライト層には最適
結論としては、筆者がGeForce NOWに対して何度も書いていることの繰り返しとなりますが、Apexなど最新の流行りのゲームに触れてみたいけど、ゲーミングPCを買うことまではできないといったライト層にとっては、とっておきのサービスだと言えます。
その反面、どうしてもデメリットで述べたようにストリーミング品質が最高でフルHD程度かつフレームレート60FPSまでといった制限もあるので、ApexやフォートナイトなどFPS系・バトロワ系のゲームで上位ランキングを狙っていくのはかなり厳しいかと思います。
また、筆者自身はゲーミングPCを所有していないため、Apexの使用感はGeForce NOWでのものしか知らないですが、普段ハイスペックなゲーミングPCでApexを遊んでいるゲーマーが試しにGeForce NOWでプレイしてみると、やはり遅延は感じるようです。
これはどうしても本来は「PC⇔ゲームサーバー」と2点で接続しているものが、「PC⇔GeForce NOW⇔ゲームサーバー」という3点での接続となっているので、一つ余分なものを挟んでいる分、どうしても遅延が発生してしまうのは仕方ないかと思います。
そのため、この本来不必要な余分な遅延を見逃せないシビアなプレイヤーは素直にゲーミングPCを購入するべきで、そうではない細かいことは気にしないからお金をかけずにPCゲームを楽しみたいといった層の方は積極的に利用してみてください。
まずはフリープランで試すのがおすすめ
ただし、デメリットの項目で書いたようにGeForce NOWはとにかく回線速度などインターネット環境に依存するサービスのため、自分が利用する場所のインターネットがGeForce NOWに適しているかどうかは、実際に使用して試してみるのが一番いいかと思います。
誰でも完全無料で利用できるフリープランも用意されているので、まずはこちらで登録してApexやフォートナイトなどご自身が遊んでみたいタイトルを動かしてみるのがおすすめです。
フリープランは連続プレイ時間の制限など多少のリミットは設けられていますが、サービスの品質自体はプレミアムプランとほぼ同等品質なため、こちらのフリープランで充分満足できる方も多いかと思います。
フリープランでの利用であれば、契約時にクレジットカードの登録も不要なため、学生など誰でも気軽に利用できる点が嬉しいポイントです。