バンドマンがやっているアルバイト!実際に働いていた10人の声とそのバイト先をご紹介
音楽一本で食っていくことを目指しているバンドマンでも、避けて通れないのが生活費やバンド活動費を稼ぐための仕事。特にバンドマンはシフトの融通が効くことを理由に、正社員として就職せずに大学や高校を卒業後も実質フリーターとしてアルバイトをしている人が多い。
そんななか気になってくるのが——世の中のバンドマンって一体どんなアルバイトをしているの?
今回は実際に現在アルバイトをしている、もしくは過去にアルバイトをしていたバンドマン10人の声を紹介したいと思う。
実際のバンドマンのアルバイトの声 10選
というわけで、今回筆者が行った実際のバンドマンに対して行ったアンケートとして、過去や現在のアルバイトに対して思う良かった点・悪かった点についての生の声を、以下でご紹介していこう。
カラオケ(時遊館)
良かった点
なによりカラオケ店ということだけあり、最新の音楽を毎日聞きながら仕事できた点が良かったと思います。
また、昼の時間帯でのシフトでしたが比較的希望も通りやすかったのでバンド活動に時間を費やしやすかったです。音楽をやっているスタッフも多かったのでバンド活動にも繋がりました。
悪かった点
フロントだけでなく調理場にも入るので、洗い物をすることで手が荒れしまうことが嫌でした。ギター担当だったため、指は大切にしたかったのですが、手荒れで皮が向けたり包丁で手を切ってしまうと手入れが大変でした。
また、配膳などもするのでそれなりに体力が持っていかれました。
筆者コメント
当時19歳の頃、カラオケ店の時遊館でアルバイトしていたという男性ギタリストの声。
やはり、音楽に関わるお仕事として真っ先に思い浮かびそうなのが、カラオケ店員。実際に音楽好きが働いていることも多く、スタッフ同士でバンド仲間として繋がることもあるようだ。
筆者が高校生の頃お世話になっていた当時23歳くらいのプロ志向ベーシストもカラオケ店で働いていたことを覚えている。(なお、現在は音楽の道を諦めてタクシー運転手として働いている)
カラオケ(まねきねこ)
良かった点
髪色やアクセサリーが自由だったので、派手めな見た目でも働けたところが良かったです。また、24時間営業でかつ希望シフト制だったので、ライブ前のリハーサルなどの予定が立てやすかったところも良かったです。
あとは社割制度があり、楽器の練習もカラオケルーム内で行ってよかったので、スキマ時間に格安で練習ができた点です。
悪かった点
地元のカラオケでバイトしてしまったがために、自分が所属するバンドを知っている人がお客様としていらっしゃったりと、若干ストーカー行為をされてしまったのが悪い点でした。
またお店の経営方針としては派手な格好もOKとしていましたが、店長がどちらかというと堅い人だったので、シフトが被るたびに見た目のことで嫌味を言われたりしました。
筆者コメント
当時19歳の頃、カラオケ店のまねきねこで働いていたという女性ベーシストの声。
先着順で10人からアンケートを募集して、2件も集まったカラオケ店員。それだけバンドマンに人気があることの表れかもしれない。
なによりこちらの方の場合、社割で楽器の練習がカラオケルーム内でできたというのは普通に羨ましいなあと思う。カラオケマシーンにベースをつないで練習していたのかな?
見た目で嫌味が言われたことについては、本当に店長や社員の人との相性次第だよね、本当。
居酒屋
良かった点
バンドマンとして昼間に活動を行っていた当時、なんといってもお金がなかったらバンドマンとしても活動を行うこともできないので、夜に居酒屋のアルバイトをして稼いでいました。
夜の居酒屋のアルバイトはそれなりに時給も良かったので、なかなかいい仕事だと思っていました。
悪かった点
昼間にがっつりとバンド活動をしていたため、夜は疲れてしまい居酒屋のバイトがままならないことが多々あったりと、なかなかバンドとバイトの両立は難しいなと思いました。
また、居酒屋の店員は店内がうるさい中接客をするため喉へのダメージも多く、歌った時声が出なくなってしまうことがあったことは致命的に悪い点だと感じました。
筆者コメント
当時22歳の頃、居酒屋で働いていたという女性ボーカリストの声。
こちらもまた、バンドマン関係なくアルバイトの定番として挙げられるであろう居酒屋店員。筆者のイメージとしてはかなり体育会系のイメージで飲食店の中でもハードそうだが、その分時給はそれなりに良いようだ。
やっぱりデメリットは、あのうるさい店内の中、理解力も乏しくなっている酔っぱらい客に対し、大声でオーダーを取ったりしなきゃいけない訳で、喉へのダメージも大きいだろうなという点。ボーカルにとっては死活問題になりかねない。
なるべく安めのチェーン居酒屋ではなく、単価が高い客層がおとなし目の居酒屋で働いた方が良いだろうなーという印象。
飲食店ホール(スシロー)
良かった点
休み希望を出せばしっかり休みがとれることです。バンド活動を理解した上でシフトを組んでくれるので、練習もしっかりしながら働くことができます。
逆に練習がなくガッツリ働きたい時もしっかり長時間のシフトを入れてもらうことも可能です。
悪かった点
シフトはしっかり管理されているのですが1ヶ月ごとのシフトなので、1ヶ月前に全て予定を決めておかないといけないことです。
突然休まないといけなくなった場合は代わりを見つければお休みできますが、なかなか難しいです。
筆者コメント
現在20歳のスシローで働いている女性ギタリスト(エレキギター担当)の声。
こちらの女性ギタリストはこの書き方からして、現在もスシローで働いている様子。この方はスシローだが、やっぱり飲食店でのホールやキッチンも定番のアルバイトだけあって、バンドマンも多く働いている。
筆者の知り合いでも、大戸屋やバーミヤンなどいろんな飲食店勤務のバンドマンが多くいる。それなりに規模が多く人数が多い店で働くことが、シフトの融通を付けやすいキモだと思う。
ファーストフード(マクドナルドの接客と調理)
良かった点
髪色が黒なので採用されたと思います。接客メインでしたので言葉使いを学びました。
もともと口下手でしたが、お客様と接し会話をするうちにコミュ力のスキルが上がり友人知人が増えました。そのおかげでバンドのライブを見にきてくれる人が増えました。
悪かった点
土日休んで良いという条件で採用されましたが、忙しい時期は土日関係なくシフトに入れられることもありました。
結果バンドのライブ当日の午前中に勤務したり、メンバーとの練習時間が減ったり困りました。接客業なので土日出勤は仕方ないのですが、当初の約束と違うと不満でした。
筆者コメント
当時19歳の頃、マックで働いていたという女性ボーカリストの声。
飲食店ってなかなか髪型や髪色に厳しいので、この女性のように黒髪な女性じゃないとなかなか飲食のアルバイトは難しいと思う。特にマックのようなファーストフードチェーンって。
この女性の場合、接客をすることでコミュ力も向上して結果的にライブの動員も増加という、バンドマンのアルバイトの成功例として言ってもいいだろう。
ただし、おそらく真面目すぎる人なのか、当初の話と違う土曜日や日曜日のシフトやライブ当日の勤務くらいはちゃんと断れる勇気は持つべきかなあと思う。
割烹料理店(個人経営)
良かった点
個人が経営している割烹料理屋で働いていました。
チェーン店と違い、シフトの融通が利きやすかったです。賄いなども食べさせてもらえたので、食費も助かりました。
人情味のある店主で、自分の夢を応援してくれたのが嬉しかったですね。
悪かった点
フロアの他に調理補助をしていたのですが、包丁で指を切ったり火傷などをしたことがあります。そうなると、楽器を弾くのに影響が出ることもあります。そのため、かなり気は使いましたね。
もちろん、どんなときでも怪我はいけませんが。
筆者コメント
当時21歳の頃、個人が経営する飲食店(割烹料理屋)でフロアと調理補助を担当していたという男性ベーシストの声。
今回唯一の個人経営店で働いていたという声である。この方の場合は人柄の良い店主の元で働けていたとのことで、夢も応援してくれていた様子。いいなあ、こういうエピソード。
個人経営店は本当にその店の店主次第だろうけど、こういう当たりのお店で働けた場合はチェーン店では得られない経験が得られそう。
ネットカフェの受付
良かった点
インターネットカフェは深夜にも営業しており、深夜帯でアルバイトをしていたため、バンドの練習の妨げにならずよかった。
また、深夜のバイトは高時給だったため、バンド活動をしながらでも生活費を稼ぐことができた。
悪かった点
深夜帯でのバイトだったため、生活のリズムが崩れやすかった。昼間のバンド活動と平行して仕事をするのが大変だった。
深夜のバイトであったため、中々寝る時間を作ることができなかった。昼間はバンド以外のことをすることが出来なかった。
筆者コメント
当時25歳の頃、ネットカフェで働いていたという男性ベーシストの声。
割と楽なアルバイト先として挙げられることが多いインターネットカフェ(漫画喫茶)の店員。特にこの方のように深夜での勤務だと、基本客も寝ているのでなかなか楽なようだ。それでいて、夜勤なので時給もそれなりに高い。
ただし、この方のように結局夜勤をすることによって昼間の活動のQOL(生活の質)が下がってしまうのは本末転倒だし、気を付ける必要があるよなあと思う。
夜勤棚卸し(日雇い派遣)
良かった点
夜勤なので時給が高いことが良いです。交通費も上限はありますが、往復分出ます。
工場の夜勤もしたことがありますが、人に気を使ったり機械に気を使ったりして合いませんでした。
棚卸しであればほとんど会話もなく、カウントしているだけで時間が過ぎます。さらに残業になる場合は、時給が割増されるから日給は11,000円くらいは確実でした。
悪かった点
会話もなく黙々と作業するので、眠くなる時間帯がきついです。仮眠はあります。
現場によっては、責任者レベルの人がイライラしていたりします。夏場に作業したところで空調があまりつけてくれず、気分が悪くなってしまったこともあります。
筆者コメント
現在34歳の、日雇派遣として働いている男性ギタリストの声。
短期アルバイトなどとして派遣バイトに登録すると、おそらく一番多いのがこの棚卸しの仕事。特に夜勤はめっちゃ多い。日給換算するとそれなりに多くもらえるので、手っ取り早くお金が欲しい時にはおすすめ。
ただし、高校生の時一度だけ働いたことある身からすると、めちゃ肉体労働だし、空調などの職場環境は最悪だし、働いている人間の質は悪いしと、全然人には勧められないなあという印象が正直なところ。
2号警備員の夜勤
良かった点
日当は1万円だったが、8時間労働であれば妥当な感じ。高齢者層が多いので若者に対して優しい人と当たりが強い人の両方いた。
シフト自体はそこそこ融通はきく。作業が終了してビルとか何かが完成した後、現場に行くと携わった感がある。
悪かった点
8時間労働(休憩は除く)。容姿にうるさく、頭髪の規定がある。白い手袋、制服上下、安全靴、ヘルメットなど用意するものが多い。急に仕事がなくなる時もある。天候に左右されやすい。
万が一、上から鉄骨とか降ってくるかもしれないというドラマみたいな危険性がある。
筆者コメント
当時19歳の頃、警備員の夜勤をしていた男性ギタリスト(エレキギター担当)の声。
警備員には1号から4号までの分類があり、この方の2号警備員というのは、工事現場での一般車両や通行人の誘導を行うお仕事。いわゆる交通誘導のお仕事である。余談だが、音楽漫画『BECK』の天才ベーシスト平くんも、交通誘導のアルバイトをしていた。
日当はそれなりにもらえるようだが、やはりなかなか厳しい仕事であることも事実なようで、特に身の危険が常にある点は、体が資本のバンドマンにとって一番のデメリットかなと思う。
あと、やっている音楽のジャンルによっては真っ黒に焼けちゃうとバンドのイメージとも合わなくなっちゃうかも。ビジュアル系で真っ黒になっちゃってもねぇ。
コンビニ(セブンイレブン)
最後に、こちらはご本人ではないが、当時働いていたパート先のセブンイレブンに、高校生のバンドマン君が働いていたという主婦の方の声。
良かった点
私が以前働いていたアルバイト先のセブンイレブンに、高校生のアルバイトの男の子で、バンド活動をしている人がいました。
曜日固定のシフトなのでバンドの練習日などは、あらかじめ面接時に勤務出来ない事を伝えていたので、両立はちゃんとできていそうでした。
仲良くなった常連の方等を、自身のライブに誘ったり宣伝も出来ていて、一石二鳥って感じでした。
悪かった点
ある程度、地元では知られているバンドだったみたいで、時々ファンの女の子とかが店内でキャッキャしてたり、バイト中に話しかけてきて長話になったりと、業務に支障が出ていました。
また、長髪だったのでバイト中は縛る約束でしたが、たまにそのままの時があり、衛生上よくなかったです。
筆者コメント
当時17歳(高校生)の男性ドラマー君がパート先にいたという主婦の方の声。
アルバイト以前に高校生の段階でファンがいるって単純に羨ましいなあと思う(笑)しかも、常連客をライブに誘えていたりと、なかなかやり手だった様子が伝わってくる。
バイト中でも長髪を縛らないのはねぇ……。まあ若気の至りとして多めに目てあげても良いような気がする。(自分が接客されたら嫌だけど)
終わりに
バンドマン10人に聞いてみたアルバイト事情についてだったが、結果としてカラオケ店に居酒屋、寿司屋、ファーストフード店など、その多くが飲食店を始めとする接客業という結果になった。
やっぱり、アルバイトをするとなると、どうしても接客業にはなってしまうのが現実のようだ。反対に、接客が苦手な人見知りバンドマン(案外ギタリストに多い)には、工場整理などの仕事になっちゃうのかなあ。
以下の記事では今回の実際の声などを元に、バンドマンにおすすめのアルバイトを吟味してご紹介しているので併せて参考にしていただければ幸いだ。
※この記事は、以前筆者が運営していた音楽サイト「バンド部ねっと」から移行した記事となります。